EVに乗っている立場で行き先をどう考えるか?

 株式会社I-S3の益田と申します。

弊社は、再生可能エネルギーの普及を目的としており、その普及には再生可能エネルギーの電源に加え、身近で最大級の蓄電池を搭載した電気自動車(EV)の普及が重要と考え、再エネとEV充電を軸に活動しております。


実は、私もテスラの推奨業者だったり、EV充電器の設置を推進する立場上、自分でもテスラモデル3を所有し運用しながらより良い普及方法を考えております。今回は、実際に充電器を準備される事業者側の視点ではなく、利用者側の視点で「どの様に、充電器の有無と目的地を判断をするだろうか?」という観点で考えて見たいと思います。


前提として、自宅充電や職場充電などの環境が整っているユーザーを考えます。私自身がそうだということもありますが、将来的にこの層が一番主流になるからです。何事も例外から考えるのは良くないです。先ずは、ざっくりとした解を考えた後にきめ細かく全ての人に対応することを考えましょう。


「出かける行き先をどうするか?」ということですから、毎日の日常の部分から1年に1回くらいの頻度の話しくらいまでを前提に、距離別に考えてみたいと思います。


近場

先ずは近場のお出かけに関してですが、これに関しては基礎充電環境がある場合にはさほど重要ではないと思いますが、お買い物や飲食中に来た道のり以上の充電が出来ていれば少しだけ嬉しいかも知れません。但し、近場のお出かけでも職場は例外で、こちらは基礎充電の範疇なので折角の昼間の充電時間なので、太陽光発電などの再エネ電力で充電できると理想的だと思います。会社も電気の方がガソリンよりも安いですし、外部にアピールできる先進的な試みとして受け入れてくれやすいと思います。

日帰り小旅行

次に少し遠出するケースを考えてみましょう。イメージとしては高速道路を使っての日帰りのドライブとかを想定しています。この場合、概ね片道で100km~200kmくらいは走ってそうなので、家までの往復はやや厳しくなってきます。この場合は行った先での滞在時間にもよりますが、以下の2つのオプションがあります。

  1. 途中で経路充電(急速充電)を行う
  2. 滞在先で目的地充電(AC200V普通充電)を行う
1の経路充電はスマートで良いのですが、現状や今後を考えると厳しい面もみえてきます。高速道路のSAには急速充電器は1~2台しか設置されていなく、充電速度も30~40kW程度で時間も30分と限定されているので、実際には15~20kWh程度しか一度には充電できない訳です。無いよりはマシなのですが、走行距離で考えても75~100kmの走行分なので本当に微妙なところです。また、トイレや食事の休憩を考慮すると大したことのない問題なのですが、目的地で遊ぶ時間が30分(待ち時間を入れるとそれ以上)減ってしまうということもあります。例外的にテスラオーナーはスーパーチャージャーが使えるので、経路にスーパーチャージャーがあって遊ぶ時間が30分減るのが気にならなければ1でも満足はできます。充電器も割と多くあるので、充電待ちのリスクも比較的低いです。

その一方、2の目的地充電が完備されていると随分と安心感が増します。目的地(例えば遊園地)に到着して、たまたまそこにあったエネチェンジの充電器にアプリで簡単に決済をすませ、そのまま入場です。別な方は、テスラのデスティネーションチャージングに接続するかも知れません。どちらの方も、時間を気にせずゆっくり遊んで、例えば、4時間くらい滞在したとします。現在、設置が進んでいる普通充電器の充電速度は概ね6kW以上ですから、4時間の滞在では24kWhの充電が可能です。走行距離で言うと120kmに相当しますので、実は"貧弱"な急速充電システムよりも心強かったりします。
しかも、遊ぶ時間は減らないんです。こうなると、日帰りの小旅行の際は、行った先に目的地充電(普通充電)があることが極めて重要ということになります。今どきはアプリで簡単に調べることもできるので、充電器の有無は今後さらに重要になってきます。


事業者側としても、急速充電器の複数設置となると数千万円の投資が必要になる上に、一度に充電できるお客様は一人か二人、なおかつ30分制限でお客様を追い出すような方式になるので全く気が進まいものですが、普通充電器であれば1台あたりある程度の工事内容があっても30万円程度みておけば設置できないことはありません。(条件によってはもっと高い場合も安い場合もあります。)複数台設置も容易であり、お客様も基本的にお帰りになるまで充電器は挿しっぱなしです。その上、初期費用をまったくかけずにも設置可能だったりするので、取り付けるべきEV充電器はAC200V普通充電器一択です。取り付けるなら可能な限り沢山設置しましょう。



旅行

さて、もう少し遠くまで出かける場合、つまり途中で宿泊を伴う場合です。ホテル、旅館、キャンプ場、道の駅、その他でしょうか?こちらも、テスラのスーパーチャージャーは例外ですが、起きている時間に30分ずつ時間を削ってChadeMoの前で待つのはどうかしています。寝ている間に普通充電ができればそちらの方が圧倒的に快適です。10時間休むのであれば、寝ている間に300km分の充電が可能です。当然、オーナーの目線からすると宿泊先選びは普通充電の可否が最重要になります。先程の話では、スーパーチャージャーは例外でしたが、宿泊の場合はむしろ急速充電はNGに近いです。

何故か?例えば30分の充電が終わったら次の人の為に車を移動しないと行けないからです。その間、温泉に飛び込むことも、ビールを開けることも、全裸になることも許されないのです。これは、苦痛以外のなにものでもありません。ホテル、旅館、キャンプ場に取り付けるべきEV充電器もAC200V普通充電器一択です。当然、ユーザー目線では、普通充電器がたくさん設置されている宿が優先候補になります。現状では、どこの宿も不安なので私などは事前に電話で確認したりしてしまいます。究極的には全ての駐車スペースに設置をしてもらいたいものです。(そのための工夫は別な日に)

冒険

もっと、遠出、例えば車で大陸横断など...
EVでも可能です。しかし、こちらは、まったく一般的ではありませんし、どちらかと言うと冒険のカテゴリーなのでご自身でお楽しみ下さい。とても楽しいと思います。Youtubeなどで公開されたらきっと視聴数も稼げることでしょう。

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