職場でのEV充電に関して

株式会社I-S3の益田と申します。

再生可能エネルギーの普及を目指しています。 普及のためには再生可能エネルギーの電源に加え、身近で最大級の蓄電池を搭載した電気自動車(EV)の普及が最重要と考え、再エネとEV充電を軸に活動しております


実は、自動車は大半の時間、駐車場に停まっています。 EVに限らず自動車は購入してから廃棄されるまでの大半の時間を駐車に費やすので、その駐車時間を用いて如何に効率的に充電するかが重要になってきます。 因みに、自家用車の平均の稼働率は我が国に於いては4.2%と言われており、実に96%の時間は駐車している計算になります。


EVを走らせる為には当然、充電が必要です。充電には従来のガソリンや軽油の給油よりも長い時間がかかります。 直流の急速充電ですと概ね30分程度、交流の普通充電ですと概ね一晩程度の時間がかかります。 多くのEVに乗ったことのない人やEV懐疑論者はそれをあげつらってEVは内燃機関を搭載した車(ICE車)よりも不便であると主張します。 特に、高速である急速充電においてもガソリンの給油よりも遅いことを問題視しがちです。


しかし、実際のEVの運用方法を考えると、実は不便どころか実質的に利便性はICE車よりも向上しているとさえ言うことができます。 と言うのもEVの充電は主として帰宅後の深夜に行うことが多く、帰宅時に充電器のプラグを差し込むと次の朝には満充電になっており、実質的な充電に拘束される時間がゼロであるからです。 また、近頃のEVの航続距離は概ね300kmを超えるものも増えており、出先で急速充電をする機会は極めて少ないであろうことが予想されます。 (単純に稼働率4%の車では、時速100kmで移動したと仮定しても100km程度しか進めません。)

そこまでは、多くの方が納得して下さるのですが、次に登場するのが「俺はマンション住まいで夜は充電できないんだ! どうしてくれる? 」族です。 実際には、我が国で自動車を所有する世帯の70%以上は戸建住宅に住んでおられるので、彼らは決して多数派ではないのですが、都市部を中心に相当数の方がおられるので、無視するのも乱暴な話でしょう。

では、そんな彼らにも無駄に拘束されずに充電ができるタイミングはあるのでしょうか?

もちろんあります! 我が国の失業率は3%以下なので、労働可能な年齢の方のかなりの割合が働いていると言うことでしょう。 業態や職種にもよりますが、多くの方が朝から夕方まで働いておられます。 多くの場合、業務中には自家用車の運転はされない場合が多いので、その時間を充電に充てることができれば多くの人にとって効率的でしょう。

職場で充電を行う場合には、費用負担の問題もありますが簡単に運用できる決済システムもありますし、現状、多くの会社で通勤手当としてガソリン代を負担している状況を考えると大きな問題はなさそうです。


また、昼間の時間に充電することによる別なメリットもあります。 それは、再生可能エネルギーの主力である太陽光発電の稼働時間と一致することです。 これにより、再エネ由来の電気を効率的に充電できるので、電力消費量に占める再エネ率を簡単に上げることができます。 また、職場の駐車場に太陽光発電を併設して自家消費電力を主体にEV充電を行うことでコスト削減の効果も期待できます。 また、従業員の自宅にV2Hなどがある前提では、適切に課金を行うことで生活用の電力を会社から支給することも可能になります。


このテーマは現時点では、普及はおろか議論も殆どなされていない状況です。 今後、実際に設置が進むにつれて様々な問題点が顕在化したり、利便性を向上させる工夫が出てくるでしょう。 数が増えてくると電力の需給バランスの問題ともリンクしてくるので、非常に面白いテーマだと思います。

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